初級 ホワイトバランス

初級講座では「水中モード」「水中ホワイトバランス」から卒業することを目標にします。
なぜ卒業しなくてはいけないかは
ブログ「川奈トラ水中写真を考える」2013年3月15日の記事を参照してください。

重複する部分もありますが
オリンパスの水中モードは、水中ワイド向きのオリジナルPモードと
水中マクロ向きのオリジナルPモードに水中ホワイトバランスを加えたもの。
他社の水中モードは通常のPモードに水中ホワイトバランスを加えたものです。

ホワイトバランス全体については「中級 ホワイトバランス」で詳しく書きますが、
ここでは水中ホワイトバランスについて理解しましょう。

 水中写真では被写体の青被りをなくすために、被写体にストロボ光を当てます。
水中ビデオでは青被りをなくすために水中ライトが使用されてます。
ビデオの場合、マクロ動画なら水中ライトで照らせますが、
ワイドな画角を照らすのに十分な光量と照射角をもつ水中ライトは高額でした。
そこでレンズにオレンジフィルターをつけて青被りをなくすという方法がとられてました。

このオレンジフィルターをカメラ内部で付加させようという発想が水中ホワイトバランスです。

実際にはホワイトバランスの色温度を高く設定することによって青が消されて赤が強くなります

例1)水中モードで撮影したとき白い魚が赤くなったり、影が赤くなったりする。
水中ホワイトバランスでライトの光を当てたりストロボを炊くと写真全体が赤くなることがあります。
人工光が当たらないことを前提に赤が強くなる補正をしているので、そこに人工光が当たってしまうと、人工光で赤が再現された状態から更に赤補正がかかってしまうからです。

例2)水の色が他の人の写真と違う。水中感のない写真になってしまう。
一般的に水中写真は、
被写体はストロボ光で、ストロボ光に影響されない背景は自然光で撮影されています。
この時ホワイトバランスは晴天に設定するのでストロボの当たっている被写体は太陽下で見た色になり、ストロボの当たっていない背景は水中で実際に見た色になります。
人工光を当てないでとき水中ホワイトバランスでは、被写体は太陽下で見た色になり、背景も太陽下で見た色になります。背景に関しても失われた赤を復元してしまうわけですね。
水は赤を透過させない性質があるから青くなるのに、そこに赤が再現されたら紫の水になってしまいます。

例1 水中ホワイトバランスでストロボ光が当たり赤くなってしまったミノカサゴホワイトバランス晴天でストロボ光を当てる。
ミノカサゴ本来の色はこちらだと思います。

例2 水中ホワイトバランスでストロボ光の届かない距離から撮影。
青被りはしてませんが水の色が紫色に
青被りはしてますが本来の水の色はこちらだと思います。カメ本来の色を出すためには人工光を当てます

例を2つ挙げましたが、これがみなさんが水中ホワイトバランスに感じてる違和感の正体です。

2013年3月現在、現行機のオリンパスXZ-2ではだいぶ改良されたように見えますが、
それ以前のカメラでは違和感がでるはずです。