中級 クローズアップレンズ

カメラ、レンズの最大倍率以上の大きさで被写体を撮影したい場合、いろんな方法があります。

デジタルズーム・・・カメラ内でトリミングしてるだけなので画素が荒くなりオススメしません。

テレコン、デジタルテレコン・・撮影距離は変らず、2倍、4倍に拡大できます。
最近の機種は画素が落ちないので有効です。機種によってはデジタルテレコンに設定するとターゲット枠が中央固定になるので構図を作るためにフォーカスロックする必要が出てきます。もともとMFの人には関係ありません。

クローズアップレンズ・・・いろんな倍率のレンズが発売されてるので用途に応じて選べます。
ただ、レンズの倍率によって適正撮影距離がかわるし、取り外しの手間も発生します。
クローズアップレンズはレンズの中央部分の性能はいいんですが外側にいくにつれ歪みや流れが発生しやすいのでテレ端近くで使うことが前提になります。

 お手軽なようで正しく使うのにコツがいるのはクローズアップレンズなので解説します。

現在発売されているレンズは3種類に分類でき、
6倍レンズ、4倍レンズ、2倍レンズと呼ばれています。
2倍レンズを2枚重ねると4倍レンズと同じ倍率になります。
4倍レンズを2枚重ねると6倍レンズと同じ倍率になります。
ただ、レンズを重ねるほど減光しますし、画質も落ちるし、出っ張る分ライティングが難しくなるので
できれば重ね付けはやめたほうがいいです。特に内蔵ストロボのみで撮影している人はストロボの光がレンズの淵に遮られ写真の中に影が出来てしまいます。(ケラレといいます)

 代表的なクローズアップレンズ
6倍レンズ・・・UN UNCU-01,UNCU-02
4倍レンズ・・・INON UCL-165LD,UCL-165AD,UCL-165M67
2倍レンズ・・・INON UCL-330,OLYMPUS PTMC-01

光学4倍ズームのカメラで3cmの被写体を、ピントの合う最も近い距離(=最短)で撮影。


光学4倍ズームに2倍レンズをつけて最短から撮影。最短距離は約13cm


光学4倍ズームに4倍レンズをつけて最短から撮影。最短距離は約7.5cm


光学4倍ズームに6倍レンズをつけて最短から撮影。最短距離は約6.5cm

最短距離値は陸上で測ったものなので、水中では約1.3倍遠くなります。
おおよそですが、
2倍レンズをつけてテレ端のときピントが合うのは13~33cm
4倍レンズのときは7.5~13cm
6倍レンズのときは6.5~9cm(いずれも陸上値)

ハゼなどの臆病な生物を大きく撮影したいとしても6倍レンズをつけてしまえば、適正距離に入る前に逃げられてしまいます。被写体の性格にあわせてレンズを選ぶことも大切です。
マクロ撮影が終わって魚群が現れたときに、クローズアップレンズを外さずズーム位置ワイドにして撮影する人が多いですが、絶対ピントがあわないので一手間を惜しまないでください。
被写体からの適正撮影距離範囲内にカメラを据えないと絶対ピントがあわないということ。
そして、使っているカメラの光学倍率によって適正撮影距離範囲が変ってしまうということです。

※詳しく書くと光学倍率というのは曖昧な表現で、
ワイド端28mmのカメラの光学4倍ズーム時の焦点距離は28×4=112mm
ワイド端35mmのカメラの光学3倍ズーム時の焦点距離は35×3=105mm
ミラーレスの14-42mmズームなら42mm位置で焦点距離は84mm
この焦点距離に対して何倍クローズアップレンズを使うかで適正撮影距離範囲が変ります。
そして焦点距離112mmの状態で最短撮影されたものに対し、被写体の面積が2倍になるのが2倍レンズ。6倍の面積になるのが6倍レンズということです。