中級 測光

「初級 測光」で以下の3パターンを紹介しました。
 ESP、評価、マルチポイント・・・写す範囲全体の平均を測ります。
 中央重点・・・写す範囲の中央周辺で測ります。
 スポット・・・任意の1点で測ります。

ですが、この3パターンに当てはまらないケースが非常に多いんです。
例えばこんなケース。被写体はマトウダイの幼魚で2cmぐらい。

これがESP測光ですが、測光枠のほとんどが砂地で、背景を露出アンダーに撮影したいとします。
正確にTTLが効くと、背景の砂と被写体の平均をとって適正露出にしようと発光するので、面積の少なすぎる被写体に対しては強すぎの発光をします。更にマトウダイは光を反射しやすいのでかなりの露出オーバーになります。



中央重点にしても被写体は枠の中に入らないので、同じく砂地を適正露出にしようと発光します。
被写体は露出オーバーになります。







ターゲット枠を黄色の場所に移動させたとします。
スポット測光の時、
測光点がターゲット枠と一緒に移動する機種では黄色の場所が測光点になりますが、ターゲット枠が動いても測光点が中央から動かない機種では赤の場所で測光することになります。
測光点が移動する機種では適正露出になり、測光点が移動しない機種では被写体が露出オーバーになります。

スポット測光点が中央から動かない機種にはAEロックという機能が付いていて
測光したい点で一度該当するボタンを押し露出とTTLを固定させ
次にピントを合わせてシャッターを切るという手順を踏みます。
手間が一つ多くなりますし、測光したときとシャッターを切った時の被写体とストロボの距離が変ってしまえば意味がなくなるので激しく動く被写体にはあまり有効な機能ではありません。

生物を大きく撮影しようとした場合ですが、
ESP測光だと被写体と背景がちょうど半々ぐらいなので、平均をとってストロボが発光すると被写体にとっては強い発光になります。






中央重点測光にすると測光範囲は被写体だけになるので適正露出になるはずです。









スポット測光にした場合、
測光点がターゲット枠と一緒に移動する機種では白の場所が測光点になりますが測光点が中央から動かない機種では緑の場所で測光することになります。
測光点が移動する機種では目で測光することになり、ほとんどの魚の目は黒いので、黒に対して測光することになります。
測光点が移動しない機種では適正露出になるはずです。

構図によって全く逆の結果になることもあり、測光方式に正解は無いと言えます。
構図や背景露出によっていちいち測光パターンを変えるのは非常に面倒くさいですし、
構図と同時に測光点がどこにあるか考えるのは無理だと思います。

僕個人の対応策ですが、
僕のカメラはターゲット枠とスポット測光点が同じなので、常にスポット測光にし
常に被写体の目にターゲット枠を移動させ、目の色と皮膚の色の違いによってマイナス方向にフラッシュ補正をかけてます。どのくらいマイナスにするかは被写体の皮膚の色の明るさと反射具合を経験上のデータで判断してます。
それにしても、画像を再生して露出をチェックする必要はあります。

測光範囲に対してTTLが効くので、少なくとも測光範囲が露出アンダーでなくてはいけません。
つまり背景はともかく、被写体だけは露出アンダーでなくてはストロボは光らないので
出来るだけ測光点を小さくし、被写体に測光点をあわせ露出計で露出アンダーであることを確認することは有効です。
そういう意味で中級以上の人にはスポット測光をオススメします

中央重点測光で水の部分も測光されたので、カメラはストロボを発光させる必要がないと判断し、結果被写体が暗くなった例。中央重点測光にしたが被写体のみで測光したので暗いと判断しストロボが効いている例。

測光範囲が広いとほんのわずかな構図の違いでTTLの効き方がかわってしまうということです。