2022/3/15

ストロボいろいろ

 

水中ストロボいろいろ

 
「スヌートいろいろ」という記事を書こうと思ったんですが、先に「ストロボいろいろ」を書きます。というのもスヌートはストロボスヌートライトスヌートがあって僕はストロボスヌートを使っているので、ストロボの話は避けられないんです。
 
写真家とかブロガーでストロボ解説してる人もいますが、「INONかSEA&SEAか」で終わってしまいます。ですがこちらのリンクの扉絵見てください   こちら
 
世界にはこんなにたくさんのストロボがあるんです。左から
INON S-2000
SEA&SEA YS-03
Ikelite DS160
INON D200
SEACAM モデルはわかりません
Backscutter mini flash
Retra Flash
Ikelite DS51
SEA&SEA YS-D3
Aoi かな?
上記記事の書かれた後に発売されたScubalamp D-MAXというのもあります。
他にもメーカーが有りますし、OEM製品も含めると何十機種あるんでしょうね?
 
皆さん知らなくて当然です。海外マスコミは日本の製品も紹介しますが、日本のマスコミは日本の製品しか紹介しませんから。紹介できる人もいないし紹介するメリットもないのでしょう。写真家についても同じで、海外マスコミは日本人写真家も紹介しますが、日本のマスコミは日本人写真家しか紹介しません。長年そのスタイルを続けてきたことによって日本水中写真界がガラパゴス化してしまいました。
 
モノづくり日本!の幻想も根強いのでINON Z330が最高!と思ってる方も多いでしょうが世界的に見たらミドルクラスだと思います。
 

デザイン

 
※僕はエンジニアではないし、上のすべてのストロボを使ったわけでもないので伝聞とわずかに推測を含む、と前置きしておきます。こういったもの書くのにも責任はあると思うので僕が信用してる筋からの伝聞です。
 
まずデザインですが、着目すべきは発光管とターゲットライトです。
 
  
①発光管が円形チューブで中央にターゲットライトがあるタイプ。
Retra Flash Pro、Ikelite DS160、SEACAM、Scubalamp D-MAXなど。
 
②発光管を2本T型に配置しターゲットライトが中央にないタイプ。
INON Z330など。
 
③直管でターゲットライトが中央にないタイプ。
SEA&SEA YS-D3、YS-03など。
 
④直管でターゲットライトが中央にないがターゲットライトが上下に2つあるので、ストロボ光の軸とターゲット光の軸が同じになるもの。Backscutter、Aoiなど。
 
⑤ターゲットライトがないもの。
INON S-2000など。
 
ストロボスヌート撮影をするうえで、ターゲットライト光とストロボ光の光軸と面積が完全に一致するということが重要で、光軸がずれるストロボはイメージの中で微調整しなくてはいけないので成功率、クオリティーは下がりますし非常に面倒くさくストレスが溜まります。①④は使いやすいけど②③⑤は使いたくないです。
 

スペック

 
各社の最上位機種で比べてみます。
 
機種価格外殻素材バッテリー最大発光FULL発行時
最速リサイクルタイム
 
INON Z330¥76780ポリカーボネイト単3×4本GN331.6秒日本
SEA&SEA YS-D3¥82280プラスチック的な?単3×4本GN331.7秒日本
Retra Flash Pro¥136000アルミ合金?最大単3×8本150Ws約2秒スロベニア
Ikelite DS160¥117000専用ニッケル水素バッテリー160Ws
GN24
1秒アメリカ
Scubalamp¥117000アルミ合金?18650リチウム×4パックGN320.5秒中国
Backscutter¥47000アルミ合金?18650リチウム×1本GN162.5秒アメリカ
  
 
 
一般的な話になりますが、
・円形の光が理想とされ、円形チューブ管は綺麗な円形をつくりますがコストがかかります。
・外殻が大きい方がバッテリー搭載スペースが増え、オーバーヒートしにくくなりますが、水の抵抗は増えます。
・プラ系素材よりアルミ合金の方が放熱効果が高いですが、コストがかかるし重量も増えます。
・GN(ガイドナンバー)とWs(ワットセカンド)は換算しにくいらしい。
・発光管の長さや、遠くに飛ばす光なのか拡散させる光なのか?で単純にGN=明るさではないらしい。
 
日本製品がチャージの速さをアピールしても海外製には劣ります。18650リチウムバッテリー×4を使うストロボのチャージ速度は単3エネループ×4とは比べ物になりません。日本の電気用品安全法の壁があるので仕方ない部分でもありますが。。。
 
主観で評価
Retra Flash Pro 僕は現在2灯ともこれです。
メリット・・・機能的に現在世界最高だと思います。世界で唯一HSS(ハイスピードシンクロ)に対応する水中ストロボ。スマホアプリで発光回数確認とかファームウェアの更新ができる。ターゲットライトの光量を細かく設定できる。ディフーザーの種類が豊富。電池ボックスを拡張できる。電池ボックスが水没しても本体内部は水没しない。元々がスヌートメーカーで後からストロボを開発したので純正スヌートが優秀。
デメリット・・・重い。重いのに小型だから浮力的にも重い。チャージは早くない。電池ボックス拡張すると左右で単3×16本を旅行で持っていくのかぁ。。。予備も考えると32本。。。あと充電器も。。。持っていくけど。。。
 
INON Z330
メリット・・・可もなく不可もなく。マイナーチェンジはあるけどモデルチェンジは少ないのでメーカーとして信用できる。故障の話はほぼ聞かない。軽い。
デメリット・・・メインユーザーの日本人がほとんど開放写真なので、尖った性能はない。調光半段づつというのが必要なのか疑問。最小GNが明かるすぎ。FULLとM発光が別ダイヤルというのが意味不明。スヌート撮影に不向き。純正スヌートは個人的に使い物にならない。
 
SEA&SEA
メリット・・・調光1段づつというのは手間が少なくて好き。直感的に操作しやすい。最小GNが1まである。
デメリット・・・モデルチェンジ多すぎ。たまに受光感度低いストロボとかだしてきて困る。そのため光ケーブルが太く柔軟性がなくよく折れる。スヌート撮影に不向き。純正スヌートは個人的に使い物にならない。
 
Ikelite DS160 (伝聞)
メリット・・・バッテリーの持ちはすごくいいらしい。円形チューブ管でターゲットライトが中央なのでスヌートと相性がいい。
デメリット・・・日本に代理店がない。でかい。
 
Scubalamp(伝聞)
メリット・・・チャージ爆速。機能がシンプルなので光量に対するコスパがいい。円形チューブ管でターゲットライトが中央なのでスヌートと相性がいい。純正スヌートは使いやすそう。
デメリット・・・日本に代理店がない。バッテリーを国内で買えない。
 
Backscutter(伝聞)
メリット・・・純正スヌートは優秀みたい。スヌート専用と考えればあってもいいかも。
デメリット・・・電池1本なので、持ちとチャージ速度が疑問。常用ストロボとしてはどうか?GN16で白砂を黒抜きにできるだろうか?
 

ストロボ選び

 
撮影者にとって何が重要か?によってどれを選べばいいのか変わってしまいますが、万能というのは無いですね。僕はストロボスヌートの使いやすさが一番重要だったので海外ストロボを選びましたが、スヌートに興味のない方におすすめしても仕方ないですね。日本だとハイパワーでガンガン撮る人やスヌートやる人が少ないので自然とメーカーもその程度のものしか作らなくなります。必要以上のスペックのものを作っても価格ばかり高くなって売れないですからね。
 
マクロしか撮らないから小型でGNの低いストロボでOK、というのはちょっと違います。
マクロでもスヌートで黒抜き表現をするなら、自然光とストロボ光の明るさの差があった方がいいわけで、僕はFULL発光を物凄く使います。生態行動や浮遊系生物の撮影となると「連写」「チャージ速度」が重要になるのでやはり最大GNの大きいストロボの方が余裕ができます。
 
デメリットとして大きさ、重さを重視する人もよくいますが、水中重量とバランスが調整できれば水中ではデメリットになりません。水の抵抗は増えます。運ぶの大変とかEN、EXが大変そうという方には「ガイドに持たせればいいじゃん」と言ってます。カメラ複数台持って潜る写真家が来たらガイドは申し出て手伝いますから、普通のゲストさんを手伝わないのは差別です(笑)ただ、、、不運にもガイドが転倒して壊れたら最悪の空気に。。。
 
日本代理店がないというのも今のご時世デメリットじゃないかもしれません。アフターサポートやメンテナンスで輸送日数がかかってしまうのはデメリットですけど、「言語が、、、」というのは翻訳アプリが解決してくれます。僕は全く英語が話せませんが海外メディアや海外メーカーと英語で普通にメールやチャットしてます。
 
という話を外国人の友人にしたら「日本人的だね~日本語で注文しても売りたかったら向こうが翻訳して対応するでしょ~それがビジネスじゃない?」って(ぐぅのねも出なかった。。。)
 
 

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結論として、日本製ストロボはスヌート撮影向きではありませんでした。
 
ですが、スヌート撮影をするためだけにストロボを海外製に買い替えるというのも現実的ではありませんね。問題はターゲットライトの光軸とストロボ光の光軸が違うということなので、そこを解決できるスヌートがあればいいわけです。
 
そこで2022年3月に登場した、ターゲットライト内蔵型スヌート
Marelux社のSmart Optical Flash Tube(略してS-OFT)
 
ストロボに内蔵されたターゲットライトを使わないので、光軸問題はなくなります
更にスヌート本体にバッテリーを搭載するので、ストロボのバッテリー消費が減り、リサイクルタイムもスペック通りになります。
 
INON Z330、Z240  SEA&SEA YS-D3、YS-D2、YS-D1に対応するアダプターも同時発売されました。
 
 
Marelux Japan ホームページ
 
INON Z330も光軸がほぼずれないじゃないか!(ほぼじゃ困るんですが)
SEA&SEAのスヌートもプリズム内蔵で光軸がずれないじゃないか!
と思う方もいると思いますが、その点も踏まえて次回「スヌートいろいろ」を書きます。