2023/6/30
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SOFT-Smart Optical Flash Tubeの考察 |
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かなり上級者向けの内容になります。 2023年7月現在 僕は本格的にスヌートを使い始めて6年くらい経ちますがその間いろんなスヌートに出会ってきました。 一番長く使ったのはRetra LSD。自作スヌート、INONスヌートも使いました。 自分では使ってないですが友人やゲストさんが持ってるものを見せてももらいました。 SUPE OSD,Backscatter OS,SEA&SEAスヌート。 Mareluxのアンバサダーになり、SOFT、SOFT Proを使用し近々SOFT Pro Xを使い始めます。僕がMareluxの関係者ということは抜きにしてもSOFT Proはスヌートの最高傑作であることは間違いありません。確かフランスのダイビング情報サイトだったと記憶してますが「スヌートを終わらせるスヌート」と、これ以上はあり得ないという評価を受けています。 実際Marelux製品のアドバイザーとして開発にも携わってますので公開できる範囲で裏の話も含め解説します。
被写体を狙う際の視認性のことだけを考えるとターゲットライトは明るいほどいいわけですが、ターゲットライトに使っているLEDは非常に熱くなります。
使ってる方も多いと思いますがamazonなどで売られてる水中ライト(左)。安価でハイパワーですが放熱のことなど考えていません。間違って陸上で点灯してしまうと火傷するくらい熱くなります。器材カゴに使っているコンテナ(右)の中で点灯してしまって5分ほどで穴が開いた経験があります。 Mareluxとしてもいかに放熱させるか?安全性を確保するか?を考えますので、無暗に明るいLEDは使えませんし、スイッチも(やや押しづらい)長押し式にしてるわけですね。 メーカー側の視点に対し撮影者側の視点も考慮しなくてはいけません。 ここで考えるべきことは、いくつかあります。 ・明るい場所では白色光より赤色光の方が視認しやすいです。「今被写体が明るくなったな」より「今被写体の色が変わったな」の方がはるかにわかりやすいです。 ・生物、特に甲殻類は赤色光より白色光を嫌います。 ・ストロボ内蔵のLEDターゲットライトはストロボが発光する前に消えていますが、SOFTのLEDターゲットライトはストロボ光を感知してから瞬時に消える、ということです。つまりシャッターが開いた時にはターゲットライトがついているということです。 スヌートを使ってどのような写真を撮りたいのか?ですが、黒抜きすることを考えるとFを絞り、SSを早くし、isoを下げることになりますが、そのことによってターゲット光(定常光)が写真に影響を与えることが無くなります。しかし自然光を取り込んだ写真(開放、青抜き、スローシャッター)を撮ろうとしたときにターゲットライト光が写真に写り込む可能性はあります。 白色光なら写り込んだとしても気にならないかもしれませんが、赤色光が写りこんだらさすがに気になります。白色LEDにしても明るすぎれば写真に影響は出るかもしれません。明るい水中ライトを照らしながらストロボ撮影するのと同じことになります。
全てのスヌートで共通することですが、照射面積を狭くする際に、レンズの屈折を変えているのはなく光の通る面積を狭くしているので、照射面積を狭くするほど暗くなります。言い換えれば光のロスが多くなっています。 円形チューブ型発光管は光の拡散に向いていますが、光の直進性は弱いです。 スクエアタイプ、直管型は光の拡散に向てませんが、光の直進性は強いです。
更にスヌートとの相性を考えると、円形チューブ型は拡散しようとする光の一部を集めスヌートに取り込みますが、スクエアタイプはほぼすべての光がストレートにスヌートに取り込まれます。 結果、日本販売ストロボに限っていうとSEA&SEA YSシリーズ、INON S2000、AOI Q1がスヌートと相性がいいことになります。 INON Z330はタイプ1は発光面のガラスがクリアですがタイプ2はメッシュ(フライアイ)のようになっていて、タイプ2の方が拡散力が強いので、スヌートと組み合わせるとタイプ2よりタイプ1の方が光のロスが少なく明るくなります。 ここからはMareluxエンジニアによる検証結果ですが SOFT Pro Xではスクエアタイプのストロボで光のロスが少なくなりSEA&SEA 、INONとの組み合わせでSOFT Proより明るくなっているそうです。 しかし集光能力の点ではSOFT Proの集光デザインの方が優れていて円形チューブ型ストロボのためにSOFT Proの製造は続けるとのことです。
SOFT Pro Xの購入を検討されている方々に100%聞かれるのが 「ターゲットライトを白にすべきか赤にすべきか?」です。 僕は「赤1択です!」と答えてますが理由を解説します。 先述したように 視認性に優れ、白色光に比べ生物に逃げられにくいということ。 開放写真やスローシャッターで赤が写ってしまう可能性については、 SOFT Pro Xを付けた状態でSOFT Pro Xの赤色ターゲットライトを点灯せず、ストロボ内蔵のターゲットライトをつければ、ストロボのチャージが遅くなりバッテリーの消費は増えますが白色ターゲットライトを選択したことと同義になり、事前に消えるターゲットライトは写真に影響を与えなくなります。(ちょっと裏技) ターゲットライトが中央にないストロボでは、ターゲット光とストロボ光にズレが生じますが、そもそもスローシャッターや開放写真で厳密なターゲティングはほぼ必要ないでしょう。 それでも厳密なターゲティングを求める方々には、 ターゲットライトがストロボ中央にあるストロボがこれから出るんです! 日本で買えるんです!(ちょっと宣伝)
まだ開発段階なので、スヌートとの相性は今後検証します。 現時点での結論は ターゲットライトが中央にあるストロボとSOFT Pro X(ターゲットライト赤ver)の組み合わせがベスト!です。 |
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